
ヘニング・コッペルこそが、代表的な「デンマーク・デザイン」を確立したデザイナーです。
1946年からジョージ ジェンセンとのビジネスをはじめたコッペルは、彫刻家としての修行を積んでいました。壮大で美しい形を表現する彼のデザインは、ジョージ ジェンセンに新しい風を吹き込みました。
彫刻を想像させる有機的で美しいラインは、彫刻家ならではの発想でした。
コッペルの有機的で動きを感じさせるフォルムは、機能主義のシャープな印象を和らげます。
彼は、日々の生活で使う商品に美しさと実用性をもたらすことを目指していました。

コッペルは、裕福なユダヤ系の家庭に生まれ、幼少より美術においてその才能を発揮し、描画や水彩画を学び、その後、国立デンマークアカデミーとパリで彫刻を学びました。
子どもの頃に磨かれた卓越した素描の技術により、多くの独創的な傑作を生み出しました。
多くのユダヤ系デンマーク人と同様、コッペルは第二次世界大戦中スウェーデンに移りました。
27歳の時に帰国し、ジョージ ジェンセンで働きはじめ、そこでジュエリー、ホロウェア、フラットウェアのデザインを手がけました。
1978年にデビューしたコッペルのタイムピースは、今ではクラシックとされていますが、当時はとても革新的なデザインとされていました。
伝統的に使われてきた数字を黒い点に置き換えていますが、これは、ジョージ ジェンセンのウォッチコレクションに受け継がれているスタイルで、内部の優秀さと、外見のエレガントさが融合されたデザインです。

1981年に63歳でこの世を去ったコッペルは、多くの家庭で使われているニューヨークに代表されるステンレススティールカトラリーから、1979年のジョージ ジェンセンの生誕75年を記念したシルバーとクリスタルのシャンデリアまで、驚くほど多岐にわたる作品を残しました。
生前に、ミラノ・トリエンナーレ、国際デザイン大賞、ルーニング賞など、多くの賞を受賞しました。完成された魅力的な彼のデザインは、いまだに愛され、すたれることはありません。